世界の合言葉はバランス

世の中は概ね割り切れない

小橋建太の引退について考えていたらいつの間にか前田智徳のことを考えていた

というわけで昨日は武道館に行っていたわけですが。

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興業全体としては、まあ大好きだった志賀賢太郎が見られたのと、雅央が森嶋をパートナーに天龍相手にしても雅央ワールド全快だったのが良かったかな。あと、やっぱりみのるや高山はもちろん、小島や永田あたりはさすがに他団体慣れしているというか、存在感をちゃんと出してくるので見事なもんだなと。


で、引退試合。さすがにチョップ乱れ打つぐらいしかできないかな?という予想してたわけですが、キチンシンク連発からの河津落とし、ローリングクレイドル、逆境からハーフネルソンスープレックスで逆転、そしてムーンサルトでフィニッシュ。完全に想像の遥か上を超えていかれました。いざリングに上がれば中途半端なプロレスは見せませんね小橋はさすがに。


いやね、大会通して見てた人のほとんどが「おいおい全然天龍より動けてるじゃん」って考えたと思うんですよ。引退についての想いは人によって様々なので「まだまだ動けるから続けてくれ」「いつでも復帰してくれ」って人もいれば「劣化した小橋は見たくない」って人もいるでしょうけど。実際動けてたと言っても、チョップの説得力は健介の方がはるかに上だった(あとあの場面は本当に潮崎が頑張ってた完全に昨日の裏MVP)し、雪崩式ブレーンバスターも完全にフォーム崩れてましたし。


よく「200本安打が打てなくなったイチローにいつまで現役続けてほしいか」的な話がありますけど、いやでも今年は普通にあの人200本打ってもおかしくない調子でマジパねぇですけど、例えばイチローが打率.280で守備走塁は中の上~上の下みたいな状態になったとして、自分は「そういうイチローには現役を続けてほしくない」派なんですね。「続けるべきでない」ではないですよ。それは自由だし、使う場面さえ考えれば50ぐらいまで戦力として活躍してて全然おかしくないし。でもね、やっぱりこうね。


そういう意味では表題の前田について、当方大のカープファン、同じ理屈で前田に対しても「もう現役続けてほしくない」って考えててもおかしくないんですが、自分的に前田が「代打の切り札」として活躍してるのってメチャクチャかっこいいし、まだまだカープの戦力として頑張ってほしい。なんという自分勝手な自己矛盾。野球選手としての総合力では前田はもう全盛期の10%も残ってないんじゃないかと思うわけですが、野球を興業・エンターテイメントとして考えれば、前田は今、全盛期に勝るとも劣らないプレイヤーなんです。勝敗や結果だけを見にスタジアムに行くわけじゃないですからねプロ野球って。当然、代打で率を3割以上残して「もう前田智徳のスイングができない」って引退していく前田が見たいという気持ちも一方でありますが。。。


自分は前田を、かつて「走攻守全てが揃った外野手」であり、そこから「アキレス腱断裂を乗り越えた不屈の選手」「一振りでチームを勝利に繋ぐ代打の切り札」というギミックを持つに至った、現状でもプロ野球界トップクラスの選手だと思ってます。

一方で小橋は、プロレスラーとして最初から最後まで「熱き青春の握り拳」であり、完全燃焼型のプロレス一本でしか小橋たりえなかったからこそ病気や怪我をおいても早すぎる(とどうしても考えてしまう)引退を迎えてしまうに至ったし、だからこそこんなにも愛されてこんなにも絶対的なプロレスラーになれたんだろうな、と。


飲みながらそんなことをもやもやと考えてしまう日曜夜。


前田の美学―広島東洋カープ前田智徳

前田の美学―広島東洋カープ前田智徳